NOTE

スポーツ指導の振り返りノートは何を書く?次の練習につなぐ記録例

練習後のメモを、次回の準備に使える形へ。指導者自身が記録する項目と、見返すときの手順を整理します。

/ 一般社団法人JPトレクラブ

指導の振り返りノートには、その日の狙い、実際に伝えたこと、見えた動き、本人の言葉、次回確かめることを残します。全員分の長い記録から始める必要はありません。まずは、次の指導で確かめたい一場面を選んでみてください。

ここで紹介するのは、指導者が自分の関わり方を振り返るための書き方の一例です。選手に提出させる日誌や、身体の状態を診断する評価表とは目的が異なります。

1. 練習前に「今日、何を確かめるか」を書く

メニュー名だけでは、練習後に何を見返すかが曖昧になります。「切り返しの前に相手を見る場面を観察する」のように、今日の狙いを一文で置きます。勝敗や成功回数とは別に、指導者として何を見たいのかを決めておくと、メモする場面を選べます。

人数、場所、用具など、前回から条件が変わった場合はそれも添えます。練習の条件が違うのに、結果だけを比べて指導の良し悪しを決めないためです。

2. 見えたことと、自分の解釈を分ける

「説明を理解していなかった」は指導者の解釈です。「説明後、本人が手順を言い直せなかった」なら、見た場面を後から確認できます。本人が話した内容は、その人の発言として残します。指導者の推測を、本人の気持ちとして書かないようにします。

記録がない部分を記憶で埋める必要もありません。見ていなかったことは「未確認」と書き、次回の観察項目に回せます。

3. そのまま使える記録欄と記入例

次の5項目をノートに写し、各項目を短い一文で書いてみてください。例は書き方を示す架空の場面で、JPトレクラブの実際の指導事例ではありません。

今日の狙い・条件
例:パスを受ける前に周囲を確認する場面を見る。今日は前回より狭い場所で練習。
実際に伝えたこと
例:「受ける前に相手の位置を見てみよう」と伝え、動きを一度示した。
観察したこと
例:合図をした直後は顔を上げた。合図なしの場面は観察できていない。
本人の言葉
例:「ボールが来ると、そちらだけ見てしまった」と話した。
次回確かめること
例:同じ広さの場所で、合図を入れない場面の視線を確認する。

この記録だけでは「指導が身についた」とは判断できません。合図があるときの反応と、自分で行った動作を分けて見返すための材料になります。

4. 次の練習で、前回の問いに戻る

次回の準備では、最後の「確かめること」から読み返します。確認できたら、どの条件で何が見えたかを書き足します。予定した練習ができなかった日は、無理に評価せず「未実施」と残して構いません。

うまくいかなかった場面だけでなく、本人が自分で選べた場面も記録します。複数の方法を一度に変えた場合は、どれが関係したのかを決めつけず、次に確かめる範囲を絞ります。

5. 共有するときは、相談したい場面を絞る

ほかの指導者に見てもらうときは、日誌を丸ごと渡す前に「この説明の後、何を観察すればよいか」など、聞きたいことを一つ決めます。個人を特定する情報は必要な範囲に絞り、本人の発言や映像を共有する場合は、共有先と目的を確認してください。

日本スポーツ協会の指導者養成資料でも、指導上の目標を置き、実践を振り返ることが学習項目に含まれています。本記事の5項目は、その公式様式を転載したものではなく、現場で使う記録欄として整理した提案です。

指導の学びを、次の実践につなげる

JPトレクラブの学びの場はセミナー案内で確認できます。参加内容についての相談はお問い合わせをご利用ください。言葉の受け取られ方を見直したい方には、「同じ指導で伸びる人と伸びない人がいるのはなぜか」も紹介しています。

参考資料

日本スポーツ協会「公認スポーツ指導者養成講習会 共通科目Ⅱ Work Book」(2021年版・PDF)。資料確認日:2026年9月14日。